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【厳選】山崎豊子の本当に面白い名作小説15選|絶対に読むべき代表作まとめ

[本記事は広告を含みます]

山崎豊子 おすすめ小説

山崎豊子の小説は、ときどき「社会派=重い」「大河=長いから後回し」と誤解されがちです。
でも本当は逆で、あの作品群は“現実の息苦しさ”を直視しながら、読者の背中を押してくれるタイプの物語なんですよね。

 

巨大組織の理不尽、家族という名の権力、仕事に飲み込まれそうになる日々。
私たちが感じる閉塞感は、たいてい「自分だけの問題」じゃなく、社会の構造と絡み合っています。
山崎豊子はそこを逃げずに描き切る。しかも、ただ絶望を並べるのではなく——「それでも人は立ち上がれる」「誰かを守る側にも、守られる側にも回復の道がある」と、物語の熱で証明してみせます。

 

この記事では、口コミや売上の人気度を手がかりに、絶版を避けつつ今手に取りやすい作品から、山崎豊子さんの名作小説を15作厳選しました。
読み終えたとき、重たい鎖が少しだけ外れて、明日へ向かうエネルギーが戻ってくる——そんな15冊を、ここから案内します。

 

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山崎豊子の名作小説15選

沈まぬ太陽

航空会社という巨大装置の中で、“人の命”が数字に換算されそうになる瞬間に、主人公の良心がギリギリ踏みとどまる。その踏ん張りが読者の背骨まで矯正してくるタイプの熱さです。読み終えると、疲労より先に「まだ闘える」が残ります。
シリーズ情報:新潮文庫 全5巻(合本あり)  


こんな人におすすめ
 • 会社の理不尽に「でも折れたくない」と思っている
 • 骨太な仕事小説を“長編で浴びたい”
 • 正義感が空回りしがちな自分を、もう一段強くしたい

広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。
人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命――。
人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける!

 

■口コミ■
・全5巻で重めであるがじっくり楽しめる。最近の作家にはない文章の力というか重さというか。一度は読んでみては良いと思う。 

・もっと早く読んでいれば良かったと悔やみつつ、この本を読めてよかったと幸せに思います。 人間の生き方、振り回されるしかない人生、その中でどうやって生きていくのかなど 自問自答しながら読み、今後の糧となる一冊になります。 

 

 

白い巨塔

“白い”は清潔さじゃなく、むしろ眩しすぎて影が濃くなる白。読み心地は冷たいのに、読後は妙に熱が残ります。勝ち負けよりも、「どこで自分が折れたか/折れなかったか」が刺さる医療×組織の極北。
シリーズ情報:新潮文庫 全5巻(合本あり)  


こんな人におすすめ
 • 医療ドラマの“さらに奥の現実”を小説で味わいたい
 • 善悪が単純に割れない人間模様が好き
 • 「出世」「正義」「信念」のせめぎ合いに痺れたい

国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、
マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。
産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、
あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

 

■口コミ■
・以前から題名は知っていたのですが、ドラマや映画を見る機会がなく、全く予備知識がありませんでした。 友人に進められて読み始めたらすぐに引き込まれてしまい、すぐに2巻に進みました。 

・1巻から5巻まで一気に読みました。おもしろすぎて止まらなかったです。一番感じたのは作家山崎豊子のすごさ。この作家は元医者?医学部卒?と思いましたがまったく違いました。あとがきで知ったのですが、この作品のために相当な時間とエネルギーを費やして勉強したのだとか。 

 

 

華麗なる一族

“家族”という名の同盟関係が、金と面子と嫉妬で静かに爆ぜていく。豪奢な語り口なのに、読後に残るのは「人間って、こんなに寂しいのか」という渋い余韻です。銀行という権力機構の描写が、世界を一段ハードモードに見せてきます。
シリーズ情報:新潮文庫 上中下3巻(合本あり)  


こんな人におすすめ
 • “金と権力の構造”を物語として理解したい
 • 家族ドラマのドロドロより、静かな圧迫感が好き
 • 読後に価値観が少し変わる大河が読みたい

業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。
長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。
不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。

 

■口コミ■
・久しぶりに小説らしい小説を読んだ気になる。文庫本上中下それぞれ500ページの大作物語。今から30年以上前に書かれた小説であるが、現在でも十分に読ませる。それは時代背景が異なっていても、そこに登場する人物が深く書き込まれ、生き生きと迫ってくることと徹底した取材から来る迫力を感じるからである。最近のアクションと軽さ、スピードを特徴とする小説と一線を画す、読む者を夢中にさせる本物の小説である。 

・山崎豊子さんのバイタリティに、圧倒されます。よくぞここ迄綿密に表現できるものだと、感心します。  

 

 

 

 

大地の子

読むほどに胸が重くなるのに、読み終えると“生きる”の意味が少しだけ強くなる。苦難の描写が容赦ないぶん、回復の手触りが現実的で、励ましが嘘にならないのがこの作品の強さです。大河なのに、最後は「明日」を手に持たされます。
シリーズ情報:文春文庫 全4巻  (合本あり)  


こんな人におすすめ
 • どん底からの「生き直し」を、綺麗事抜きで読みたい
 • 日本と中国の歴史の“肌触り”を物語で掴みたい
 • 読後にしばらく静かになれる、重い感動が欲しい

松本勝男は、敗戦直後に祖父と母を喪い、妹と生き別れた。戦争孤児となった少年は、死線をさまよう苦難を経て、中国人教師に拾われ、中国人「陸一心」として育てられる。しかし、成人した一心を文化大革命の波が襲う。
日本人の出自ゆえにリンチを受け、スパイの罪状で労働改造所送りに。終わりのない単調な重労働に明け暮れる日々、一心が思い起こすのは、養父・陸徳志の温情と、重病の自分を助けた看護婦・江月梅のことだった。
NHKでドラマ化された山崎豊子の感動巨編。

 

■口コミ■
・重みのある、しかし、大変読みやすい本で、そのスケールの壮大さに、爽快感を抱きます。やはり、山崎豊子氏のドラマは熱いです。 

・もっと難しいのかなあと思っていました。 戦争によって変わってしまった陸一心の、過酷な運命。 ページを進めるたびにハラハラ、ドキドキ。 もっと早く読むべきでした。 

 

 

不毛地帯

“仕事”が戦争の続きになる瞬間を、皮膚感覚で分からせてくる商社小説の怪物。読み味は乾いているのに、読後には「自分は何を賭けて働くのか」を問われ続けます。熱血ではなく、忍耐と計算の熱さ。
シリーズ情報:新潮文庫 全5巻(合本あり)  


こんな人におすすめ
 • 仕事の泥くささを“リアルに肯定”してくれる小説が欲しい
 • 戦後日本のエネルギーと闇を一気に理解したい
 • 長編でどっぷり「生き方」を鍛えたい

大本営参謀・壹岐正は、終戦工作に赴いた満州でソ連軍に抑留される。
酷寒のシベリアで、想像を絶する飢餓と強制労働に11年にわたって耐え抜き、
ついに昭和31年、帰還を果たした。
その経歴に目を付けた近畿商事の社長大門の熱心な誘いに応え、
第二の人生を商社マンとして歩むことを決意。
地獄の抑留生活の傷も癒えぬまま、再び「商戦」という名の新たな戦いに身を投じる。

 

■口コミ■
・とても読みごたえがありました。 自分が深く知らなかった世界の話であり、最初から最後まで大変興味深く楽しめました。 久しぶりに読書の楽しさを思い出しました。 他の山崎さんの本も読もうと思います。 

・初めて読みましたが、入念な調査に基づいた内容とグングン引き込まれる文章力に、今の作家にないスケールの大きさに感動しています。 

 

 

運命の人

社会派の骨格は硬いのに、読後感は“人間ドラマ”として残るのが強い。正しさが人を救うとは限らない、でも正しさを捨てたら自分が壊れる——その綱渡りの疲労まで含めて、読み終えたあと静かに効いてきます。
シリーズ情報:文春文庫 全4巻  (合本あり)  


こんな人におすすめ
 • 「真実」と「組織」のぶつかり合いを真正面から見たい
 • ジャーナリズム/政治の空気を小説で体感したい
 • 読後に“考えが止まらない本”を探している

毎朝新聞政治部記者の弓成亮太は、自他共に認める花形記者だ。
昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、弓成は日米間にある密約が結ばれようとしていることに気づいた。
しかし物証がない。熾烈なスクープ合戦の中、弓成に蠱惑的な女性の影が……。「外務省機密漏洩事件」に材をとり、国家権力に叩きのめされた男の挫折と再生劇として甦らせた、構想10年・毎日出版文化賞特別賞受賞の傑作。ドラマ化原作!

 

■口コミ■
・今読めば、世界中の秘密情報の見方、考え方の幅が確実に広まる。物事を多角的、俯瞰的に見る訓練になる。と個人的には考えている。 Kindle版で通勤時間等に手軽に読み進められるのも良い。  

・沈まぬ太陽同様に、忘れてはいけない大事な日本の出来事をその場にいる様に雰囲気を醸しだしつつ読ませていただきました。 テーマも内容も相当に練られての作品ですね。 今政治の世界の問題を見透かすか如くの作品でした。 

 

 

 

 

二つの祖国

アイデンティティが“選択問題”にされる恐ろしさを、物語として体験させられます。読みながらずっと胸がざわつくのに、最後には「それでも人は選び直せる」という熱が残る。戦争小説というより、人間の所属と尊厳の物語。
シリーズ情報:新潮文庫 全4巻(合本あり)  


こんな人におすすめ
 • “国に引き裂かれる個人”の物語に弱い
 • 家族の絆が時代に試されるドラマが好き
 • 戦争を「出来事」ではなく「生の問題」として読みたい

昭和十六年十二月八日、日本海軍はハワイ・真珠湾に奇襲攻撃をかけ、
太平洋戦争が始まった。まもなく、アメリカ市民として生きてきた十一万二千人の日系人は、
「敵性外国人」として、有刺鉄線に囲まれた砂漠の強制収容所へと入れられる。
さらなる差別渦の中で彼らは懊悩する。
「自分はアメリカ人なのか、それとも日本人なのか?」と。

 

■口コミ■
・圧倒的な取材に基づいた緻密な描写と読者を引き付けるストーリーを生み出す著者の力量には毎度のことながら感服させられます。 

・日本人の歴史認識を改める意味で大いに参考となる本でした。 特に東京裁判史観を見つめ直す最善の書です。 

 

 

女系家族

会話の端々が怖い。登場人物の“品のある毒”が、読み手の倫理観をじわじわ試してきます。派手な事件より、家の空気・視線・沈黙で殴ってくるタイプの濃厚さ。読み終えると、人間観察スキルが一段上がります。
シリーズ情報:新潮文庫 上下(合本あり)  


こんな人におすすめ
 • 相続・家族・嫉妬の“静かな地獄”が刺さる
 • 台詞の応酬で胃がキュッとなる作品が好き
 • 人間の欲望を、きれいに言語化してほしい

大阪・船場の老舗矢島家は代々跡継ぎ娘に養子婿をとる女系の家筋。その四代目嘉蔵が亡くなって、出もどりの長女藤代、養子婿をむかえた次女千寿、料理教室にかよう三女雛子をはじめ親戚一同の前で、番頭の宇市が遺言書を読み上げる。
そこには莫大な遺産の配分方法ばかりでなく、嘉蔵の隠し女の事まで認められていた……
遺産相続争いを通し人間のエゴと欲望を赤裸々に抉る長編小説。

 

 

花のれん

読後に残るのは、涙というより“背筋が伸びる感じ”。商売や芸の世界で、弱さを抱えたまま前へ出る強さが気持ちいい。短めで勢いがあるので、山崎豊子さんの入口としても最適です。


こんな人におすすめ
 • 長編に入る前に、まず“山崎豊子さんの推進力”を試したい
 • 仕事・商いの「腹の据わり方」をもらいたい
 • 読後に前向きな熱が残る一冊が欲しい

船場に嫁いだ多加は頼りない夫を立ててよく働くが、夫は寄席道楽に耽って店を潰す。いっそ道楽を本業にという多加の勧めで場末の寄席を買った夫は、借財を残したまま妾宅で死亡する。
多加のなりふりかまわぬ金儲けが始まった。金貸しの老婆に取入り、師匠たちの背中まで拭い、ライバルの寄席のお茶子頭を引抜く──。
大阪商人のど根性に徹した女興業師の生涯を描く直木賞受賞作。

 

■口コミ■
・昔の作品で、生粋の大阪弁の会話が多く、初めはすらすら読めませんが、段々と慣れてきて夢中で読みました。吉本芸人はあまり好きでは無かったのですが、この本を読み終わった後は面白くお笑い番組を観ています。 

・NHK朝ドラ「わろてんか」に触発されてポチってしまいました。 お笑いとか芸人の世界って実際はえげつないのかもしれませんが、キレのよい文体でさっくりと、しかも情景豊かに書き上げられていました。 私は最初の2-3ページでハマってしまい一気に読んでしまいましたが、読後の爽快感もまた格別でした。 

 

 

 

 

約束の海

読み終えたあとに残るのは、爽快感よりも「考え続けろ」という宿題。平和の時代に、戦争の影がどう残るのかを静かに突きつけてきます。山崎豊子さんの“最後の問い”として、読後の沈黙が長い作品です。


こんな人におすすめ
 • 防衛・戦争の記憶を“他人事にしたくない”
 • 答えより「問い」が残る読書がしたい
 • 未完でも、作家の最終問題を受け取りたい

海上自衛隊の潜水艦「くにしお」と釣り船が衝突、多数の犠牲者が出る惨事に。
マスコミの批判、遺族対応、海難審判……
若き乗組員・花巻朔太郎二尉は苛酷な試練に直面する。
真珠湾攻撃時に米軍の捕虜第一号となった旧帝国海軍少尉を父に持つ花巻。
時代に翻弄され、抗う父子百年の物語が幕を開ける。
自衛隊とは、平和とは、戦争とは。構想三十年、国民作家が遺した最後の傑作長篇小説。

 

■口コミ■
・人に勧められ購入。賛否両論のある自衛隊を詳細まで取材してあり、自国を守るとは?この、現代の世だからこそ読むべき小説。作者が執筆中に亡くなり、絶筆なのが悔しい。 

・想像を掻き立てる作品です。それだけに中途で終わっているところがとても残念でしたが、それはそれで余韻の残る良い作品だと思います。 

 

 

女の勲章

“成功”が人を美しくするとは限らない、むしろ醜くすることもある——その現実の手触りが鋭い。ファッション界の華やかさが、読後には薄い膜みたいに見えてくるのが怖いところです。人の欲望が加速する瞬間を覗きたい人に刺さります。
シリーズ情報:新潮文庫 上下  


こんな人におすすめ
 • “華やかな業界の裏側”の温度差が好き
 • 成功と孤独のセットに、心当たりがある
 • 野心や自己演出の物語を、甘くしないで読みたい

大阪船場に生まれ若くして両親を失った大庭式子は、三人の若い弟子たちと甲子園に聖和服飾学院の新校舎を建設する。
一方、学院に出入りし、さまざまな場面で式子をサポートする八代銀四郎は、東京の名門大学を卒業し、一流会社に就職しながら、一年でサラリーマンに見切りをつけた経歴の持ち主。銀四郎の商才にたけた巧みな手腕で、式子は虚飾のファッション界の階段を昇っていく。

 

■口コミ■
・ドラマ放映の前に買って読みました。 余りの面白さに、この時代の山崎豊子の全作品を読んでしまいました。 

・ストーリーは本当に面白く人物像がそれぞれ印象深く映像が浮かぶ流石の大御所作家さんです。(花のれん)を初めて読んでお気に入り。山崎豊子2冊目ですけれどワクワクしながら…読み終わるまでお昼休みが楽しみです。 

 

 

暖簾

“商人の背中”に説得力がある。派手な逆転劇ではなく、積み上げで人生を立て直す話なので、読後に効くのは静かな勇気です。山崎豊子さんの文章の芯——硬派で、情があって、現実的——が最初から詰まっています。


こんな人におすすめ
 • 地道に積み上げる“仕事の誇り”を取り戻したい
 • 大阪商人の文化・空気を小説で味わいたい
 • 作家の原点から読みたい(入口を硬派に行きたい)

一介の丁稚から叩きあげ、苦労の末築いた店も長子も戦争で奪われ、ふりだしに戻った吾平の跡を継いだのは次男孝平であった。
孝平は、大学出のインテリ商人と笑われながら、徹底して商業モラルを守り、戦後の動乱期から高度成長期まで、独自の才覚で乗り越え、遂には本店の再興を成し遂げる。
親子二代“のれん"に全力を傾ける不屈の気骨と大阪商人の姿を描く作者の処女作。

 

■口コミ■
・緻密な調査からなる描写とユーモアを交えた生き生きとした筆致で大阪商人を描いた著者の処女作に、後の大作家となる片鱗を見出すことができました。 

・山崎さんならではの、商売への愛情と徹底的な取材・歴史書の紐解きによって実現されている。 商売をやっている人、これから始めようとする人、必見!! 

 

 

 

 

ぼんち

読み味は艶っぽいのに、テーマは意外とストイック。「遊び」と「家」と「男の修業」が同じテーブルに乗っていて、読後に“人生の帳尻”という言葉が妙に腑に落ちます。大阪の空気を吸う小説としても強い。


こんな人におすすめ
 • 人間の業(ごう)を、笑いと渋みで味わいたい
 • “品と欲”が共存する大阪文化に惹かれる
 • 破天荒だけど、最後に何かが残る物語が読みたい

放蕩を重ねても、帳尻の合った遊び方をするのが大阪の“ぼんち"。
古い暖簾を誇る足袋問屋の一人息子喜久治は「ぼんぼんになったらあかん、ぼんちになりや。男に騙されても女に騙されてはあかん」という死際の父の言葉を金科玉条として生きようと決意する。
喜久治の人生修業を中心に、彼を巡る五人の女達、船場商家の厳しい家族制度、特殊な風習を執拗なまでの情熱をこめて描く長編。

 

■口コミ■
・作者の船場への愛を感じた一冊でした。女性の着物の描写やお座敷の様子など目に浮かぶようであった。 

・さすがの山崎さん取材力によって、当時の船場の独特の雰囲気と細部に渡る 商習慣が物語と共に描かれている。 歴史ものの経済小説が好きな方にはとてもおもしろくためになる本。 商売人として、遊びの部分の基準を知る意味でもとても重要な本。 

 

 

ムッシュ・クラタ

長編の“圧”とは別の意味で、短い距離で胸を刺してくる一冊。人の粋さ、みっともなさ、強さが、短編の切れ味で際立ちます。山崎豊子さんの「人間観察の刃」を味わいたいときに最適。


こんな人におすすめ
 • 大河より先に、作家の“観察眼”だけを濃縮で浴びたい
 • 短い話で心をえぐられるのが好き
 • 余韻の種類が違う短編集を探している

戦前・戦後、新聞社のパリ特派員を勤め、フランス文化をこよなく愛して「ムッシュ・クラタ」と呼ばれた男。日本人の常識から逸脱した行動をとり、鼻持ちならないキザな奴と見られていた彼が、記者として赴いたフィリピンの戦場でしめしたダンディな強靱さを、鮮やかに描いた表題作。
ほかに夫婦の絆の裏表を鋭い人間観察で切り取った「晴着」「へんねし」「醜男」をおさめる中・短編集。

 

■口コミ■
・ヒリつき感と現代では到底経験し得ない特殊なシチュエーションでも、没入感を得られる山崎豊子の描写にただただ思い入れるしかなくて悔し嬉しい今日この頃です。 

・見たこともない「ムッシュ・クラタ」だが、山崎さんの巧みな描写で、やすやすとその風体・容姿が想像されて、それもまた面白い。不思議な読後感、余韻が残る作品と言える。  

 

 

しぶちん

“ケチ”が単なる性格じゃなく、生き方の哲学として立ち上がる短編集。大阪の乾いたユーモアがありつつ、読後はなぜか「お金の使い方=人生の使い方だな」と思わされます。短いのに、刺さり方が毎回違うのが強み。


こんな人におすすめ
 • お金の価値観を“道徳”じゃなく物語で揺さぶられたい
 • さくっと読めて、刺さる余韻が欲しい
 • 大阪商人の合理と情のバランスに興味がある

“しぶちん”とは大阪弁でケチン坊のことだが、ケチが陰にこもらない開放的な言い方である。
19歳で伊勢の沢庵売りから大阪の材木問屋に奉公して財をなした山田万治郎は、“しぶまん”と呼ばれながらも、昭和初年に、商工会議所の議員に推薦される。
大阪商人の金銭への執念を捉えた表題作の他、大阪富商の町、船場に憧れと執念をもやした女の一生を描く『船場狂い』など、全5編を収録する。

 

■口コミ■
・大阪の歴史です。船場言葉は大阪弁のルーツで、凄く勉強になります。いろんな角度からのお話がとても興味深いです。大変面白いです。 

・山崎豊子さんの初の短編集だが、どの話も面白かった。今まで長編ばかり読んできたが、短編集も魅力ある作品だと思った。 

 

 

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最後に:山崎豊子の物語は、あなたの「新しい背骨」になる

山崎豊子さんの小説15作を並べてみると、舞台は航空会社、大学病院、銀行、商社、政治の現場、戦争と移民、そして船場の商家まで——驚くほど幅広いのに、読後に残る手触りは一貫しています。
それは「現実は厳しい。でも、そこから目をそらさずに踏ん張る人間は、ちゃんと強い」という確信です。

 

長編は長編で、読み終えたあとに“人生の体力”が少し増えたような感覚があります。

『沈まぬ太陽』『白い巨塔』『不毛地帯』のように、巨大組織の理不尽と向き合う物語は、働く私たちの背中を静かに押してくれます。
『華麗なる一族』『女系家族』では、家族や血縁が権力になる瞬間の冷たさに震えつつ、人間の複雑さを見抜く目が養われる。
『大地の子』『二つの祖国』は、時代や国境に引き裂かれながらも生き直す姿が、言葉ではなく体感として胸に残ります。
『運命の人』『約束の海』は、答えよりも「問い」が残り、読み終えたあとに世界の見え方が少し変わるタイプの作品でした。

 

そして短めの作品——『花のれん』『ぼんち』『ムッシュ・クラタ』『しぶちん』は、山崎豊子さんの“人間観察の刃”を軽やかに味わえる入り口です。長編の重厚さとは違う形で、笑い、渋み、余韻が刺さり、気づけば自分の価値観まで整えられている。そんな不思議な読書体験が待っています。

 

「どれから読めばいいか迷う」なら、今の自分の気分に合わせて選ぶのが正解です。
仕事に疲れているなら組織もの、家や人間関係がしんどいなら船場もの、世界の理不尽にモヤモヤしているなら戦争・社会派——山崎豊子さんの小説は、悩みの種類に応じて“効き方”が変わります。

 

読み終えたとき、世界が急に優しくなるわけじゃない。
でも、こちらの背骨が一本増えて、明日を迎える体勢が整う。
そんな「現実に効く読書」を探している人に、今回の15作はきっと頼れる味方になります。

 

 

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