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第174回芥川賞受賞作決定!鳥山まこと『時の家』・畠山丑雄『叫び』が2作同時受賞!全候補作レビュー

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第174回 芥川龍之介賞決定

文芸誌の最新号を手に取っただけで胸の奥がざわついたあの季節が、ついにひとつの結末を迎えました。

 

2026年1月14日(水)。 第174回 芥川龍之介賞(2025年下半期)の選考会が行われ、並み居る強豪たちのなかから、「いまの文学」を象徴する作品が決定しました。 今回は、なんと2作同時受賞という熱い結果となりました。

 

鳥山まこと『時の家』 畠山丑雄『叫び』

 

今回の候補は、私たちの心をざわつかせた5作。 久栖博季『貝殻航路』、坂崎かおる『へび』、坂本湾『BOXBOXBOXBOX』、そして受賞した『時の家』と『叫び』。

 

静謐な筆致で“時間”を描いた物語が獲るのか、それとも圧倒的な熱量で“歴史と政治”を叫ぶ物語が獲るのか——。 選考の結果は、その両極端とも言える「静」と「動」、あるいは「個」と「公」の双方が、いまの時代に必要だと示された形となりました。

 

言葉のリズム、視点のズレ、沈黙の重さ、描かれない部分の圧。 受賞作はもちろん、惜しくも選ばれなかった作品も含め、読み終えたあとに「はい感動!」では終わらせてくれない、遅効性の毒のような力を持つ作品ばかりです。

 

さあ、栄冠はどの作品に輝いたのか。 読後に残る余韻、テーマの鋭さ、そして「なぜ今、この二作なのか」という理由とともに。

 

——第174回芥川賞、運命の受賞作と、惜しくも涙を飲んだ候補作を紹介します。

 

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第174回 芥川龍之介賞決定!

第174回 芥川龍之介賞 『時の家』鳥山まこと(群像8月号掲載)


家って、住む場所である前に“時間の貯蔵庫”なんだよな……と、読後にしみてくる作品です。
ある家をめぐって、三代にわたる住人たちの記憶が重なり、同じ部屋・同じ景色が、世代ごとに違う意味を帯びていく。  


読み心地は静か。でも、しずけさの中で「人は何を残し、何を受け取ってしまうのか」をじわじわ問われます。
読了後、ふだん見慣れた自室や実家が、ちょっとだけ“別のもの”に見えてくるはず。  


こんな人におすすめ
 • 記憶・家・継承みたいなテーマで、静かに深く潜りたい
 • “大事件”より、人生の層が積み重なる感じが好き
 • 読後に自分の過去や家族の時間をふと考えてしまう小説を読みたい  

青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。
目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。
幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。

 

時の家

時の家

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第174回 芥川龍之介賞 『叫び』畠山丑雄(新潮12月号掲載)


これは、個人の罪悪感や負い目が、いつのまにか「戦後日本」という巨大な問いに接続されていくタイプの小説です。
大阪・茨木という場所の来歴を手がかりに、過去の時間(満州、阿片、戦前・戦後の影)と現在がつながっていく構図が、じわじわ効いてくる。  


読後に残るのは、派手な怒りではなく、喉の奥に残る“言葉にならない圧”。
タイトルどおり、最後は読者の中にも小さな叫びが生まれる——そんな体験型の一冊です。  


こんな人におすすめ
 • 「社会」や「歴史」の話を、説教ではなく小説として浴びたい
 • 過去と現在が接続される瞬間の、ぞくっとする感触が好き
 • 読後にしばらく無言になるタイプの文学が読みたい  

早野ひかるは「先生」に打ちのめされ、銅鐸と土地の来歴を学び始める。
ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。
いつしか昭和と令和はつながり、封印されていた声が溢れ出す。大阪と大陸で響き合う夢とロマン、恋愛政治小説。

 

叫び

叫び

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『貝殻航路』久栖博季(文學界12月号掲載)


これは、地図の端っこにある街の霧の中で、記憶と歴史がゆっくり結び直されていく物語。
港町・釧路、北方領土を望む土地の空気、そして戦後の歴史と民族の記憶——“土地が抱えてきた痛み”が、個人の痛みと絡み合って、読者の呼吸まで少し変えてきます。  


ページを閉じたあとに残るのは、「理解した」よりも「背負ってしまった」に近い余韻。
景色の描写がそのまま、心の奥の引き出しを静かに開けてくるタイプの一冊です。  


こんな人におすすめ
 • “土地の記憶”や境界の歴史が、個人の人生に刺さる物語が好き
 • 読後に世界が少し広く、少し重く見える作品を読みたい
 • 余韻が長く残る、静かな熱を持った文学が欲しい  

光の消えた灯台、あの日帰ってこなかった父――霧に滲む創路の街で、わたしは痛みと空白の記憶を結ぶ

 

 

『BOXBOXBOXBOX』坂本湾(文藝冬季号掲載)


読んでいるあいだ、ずっと機械の音が耳の奥で鳴っている——そんな“労働のサスペンス”です。
宅配所のベルトコンベア、仕分け、顔の見えない作業の反復。その単調さがある瞬間からズレ始め、現実の地面がわずかに傾いていく。  


テーマは派手に叫ばれません。けれど、読み終えたとき「箱=モノ」だけじゃなく、「人もまた交換可能な部品として扱われうる」感触が、手に残ります。  


こんな人におすすめ
 • 仕事・労働・現代のシステムを、物語のスリルで体感したい
 • 静かな閉塞感が、ある瞬間スパークする小説が好き
 • 短めでも一撃がある、新しい感触の作品を読みたい  

宅配所に流れる箱を仕分ける安(あん)。
ある箱の中身を見た瞬間から次々に箱が消えていって――
顔なき作業員たちの倦怠と衝動を描くベルトコンベア・サスペンス。

 

BOXBOXBOXBOX

BOXBOXBOXBOX

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『へび』坂崎かおる(文學界10月号掲載)


この作品の怖さは、怪異じゃなくて「日常が日常のまま、世界観だけが反転していく」タイプの怖さです。
親と子の時間、夫婦の距離、うまく言葉にならない疲れや喜び——その全部が、ある“視点”によって別の輪郭を帯びて立ち上がってきます。  


読み終えたあと残るのは、派手なカタルシスじゃなく、じわっと胸に熱が戻ってくる感じ。
「家族を語ることの難しさ」と「それでも続いていく日々」の両方を、静かに手渡してくる一冊です。  


こんな人におすすめ
 • 家族小説で泣かせに来るやつより、“生活の熱”で刺してくる作品が好き
 • 読後に「自分の見方」を少し疑いたくなるタイプの文学が読みたい
 • 短いのに体温が残る作品を探している  

 

 

第174回芥川賞の分析:二つの極北が共鳴した「2作同時受賞」

今回の選考結果、一言で言うなら——「文学の“静域”と“咆哮”が、同時に認められた」回でした。

 

2026年1月14日、第174回芥川賞は鳥山まこと「時の家」と畠山丑雄「叫び」の2作同時受賞という、非常にドラマチックな結末を迎えました。事前の「読者を気持ちよく着地させない」という不穏な予感(期待)は的中し、選考委員会は全く異なるアプローチで「日常の見え方」を壊しに来た二つの才能を、共に称える道を選びました。

 

1)「静」と「動」:対極の文体が並び立った勝利
受賞した2作は、驚くほど対照的です。

『時の家』: 時間の堆積や沈黙を、極めて精緻な言葉で彫り上げる「静」の文学。

『叫び』: 歴史の濁流や個人の怒りを、圧倒的な筆力で叩きつける「動」の文学。

この対照的な2作が同時に選ばれたことは、現在の日本文学が持つ「表現の幅」そのものの豊かさを証明しています。

 

2)「新人の皮をかぶった技巧戦」の終着点
分析でも触れた通り、今回の候補者はすでに他賞で実力を証明済みの「猛者」揃いでした。 結果として、野間文芸新人賞受賞作である『時の家』と、三島賞候補歴のある実力者・畠山氏の『叫び』が選ばれたことは、「単なる新しさ」ではなく「積み上げられた圧倒的な完成度」が評価の決め手になったと言えます。

 

3)「後から効く毒」としての共通点
受賞作、そして惜しくも選に漏れた3作に共通していたのは、読者に対する「突き放し」の鋭さです。 どの作品も、読み終えた瞬間に「あぁ、いい話だった」とは言わせてくれません。数時間後、数日後に、ふとした生活の隙間で「あの描写」がフラッシュバックする。その「遅効性の強度」において、今回の2作は頭一つ抜けていたのかもしれません。

 

芥川賞決定後の「よくある質問」

Q. 受賞作はどれに決まった?

A. 第174回芥川賞は、鳥山まこと「時の家」と畠山丑雄「叫び」の2作が同時受賞しました。

 

Q. 「2作同時受賞」ってよくあること?

A. 珍しいことではありません。選考委員の意見が割れた際や、全く異なる価値を持つ2作がどちらも外せないと判断された際、今回のように同時受賞となります。

 

Q. 惜しくも落ちた作品も読む価値はある?

A. 大いにあります。 今回の候補作は、文体やリズムにおいて非常にエッジの効いた作品ばかりでした。「受賞作よりも、落選したあの作品のほうが自分の感覚には刺さった」ということが頻繁に起きるのが、純文学の世界の面白さです。

 

Q. 選評(選考委員のコメント)のどこに注目すればいい?

A. 受賞した2作については「どこが突き抜けていたか」を。落選した3作については「何が足りなかったとされたのか」をチェックしてください。そこには、プロの書き手が「いまの文学に何を求めているか」というリアルな基準が詰まっています。

 

Q. これから読み始めるならどっちがおすすめ?

A. 自分の今の体温で選んでください。

「静かな場所で、思考の深淵に沈みたいなら、鳥山まこと『時の家』を。

「強烈なエネルギーに揉まれ、価値観を揺さぶられたい」なら、畠山丑雄『叫び』を。

 

まとめ:言葉は、読み手の中で完成する

第174回芥川賞は、2人の才能が並び立つという最高潮の熱気の中で幕を閉じました。

しかし、文学にとって「受賞」は通過点に過ぎません。作品が本当の意味で完成するのは、選考委員の手を離れ、あなたの視線がページの上を滑り、その一文があなたの脳内で「化けた」瞬間です。

 

静かに時間が止まるような感覚を味わうのか、それとも魂を揺さぶる叫びを浴びるのか。 あるいは、惜しくも選ばれなかった「へび」や「貝殻航路」、「BOXBOXBOXBOX」の中に、あなただけの決定的な一行を見つけるのか。

 

2026年1月14日。 “いまの文学”の最前線が、ここに示されました。 さあ、今度はあなたが、この言葉たちを「体験」する番です。

 

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