
1923年9月1日、関東大震災が発生しました。
その直後、日本全国で「朝鮮人が放火や投毒、暴動を起こした」という流言が瞬く間に広がり、結果として数千人の朝鮮人が虐殺されたとされています。
しかし100年以上経った今、私たちはこの事件について、どこまで正確に理解しているでしょうか?
「虐殺は本当にあったのか」という二者択一の問いだけでは、歴史の真実には近づけません。
この記事では、その問いを問い直します。
こんな疑問をお持ちの方へ、この記事を書きました:
「関東大震災と朝鮮人虐殺の関係は何か」
「流言はなぜ広がり、虐殺に至ったのか」
「歴史学は、この事件について何を明らかにしたのか」
「福田村事件とは何か」
「複数の視点から事実を検証したい」
「100年前に何が起きたのか、正確に知りたい」
「歴史認識を深めたい」
関東大震災の朝鮮人虐殺――それは、単なる「歴史事件」ではなく、日本社会における差別と排除のメカニズムが露呈した重要な転機です。
陸軍の秘密記録、小学生の作文、海軍練習艦の無線傍受記録、隠されていた閣議決定。
これらの新資料が示す真実とは何か?
この記事で紹介する6冊を読むことで、以下のテーマが整理できます:
✅ 流言がなぜ生まれ、どのように伝播したのか
✅ 虐殺の実態と被害者たちの実像
✅ 福田村事件という別の悲劇
✅ 複数の立場(虐殺側・被害者側・日本人側)からの証言
✅ 歴史学による実証的な検証
✅ 虐殺否定説との対比
「朝鮮人虐殺はあったのか、なかったのか」という単純な問いから脱却し、「なぜ多くの人が殺され、その記録は忘却されたのか」という深い問いへ。
歴史研究が100年間かけて到達した答えが、この6冊には詰まっています。
では、さっそく見ていきましょう。
👉 20万以上の対象作品が聴き放題。Amazonのオーディオブック、Audibleの30日間の無料体験はこちら。
👉 Kindle Unlimitedなら500万冊が読み放題。30日間の無料体験はこちら。
歴史は何を語ったか 最新研究で明らかになる虐殺の実相
福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇 / 辻野弥生 (著)
おすすめする理由 - この本の強み
関東大震災後の虐殺事件の中でも、最も悲劇的で、かつ記録されにくかった「福田村事件」に焦点を当てた傑作です。香川県の被差別部落出身者たちが、朝鮮人と誤認され、自警団によって虐殺された事件。6歳・4歳・2歳の幼児と妊婦を含む9名が殺害されました。
この事件が重要な理由は、単なる「朝鮮人虐殺」ではなく、差別が重層的に構造化していたことを示す証拠だからです。被差別部落出身という別の差別が、朝鮮人虐殺と重なり、記録されにくくなっていました。
実際に読んで印象的だったポイント
最も印象的だったのは、犯行に及んだ者たちが「正義の名の下に暴力を振るう」という心理です。法廷での供述書に、彼らがいかに自分たちの行動を正当化していたかが記録されています。さらに衝撃的なのは、事件後、首謀者の一人が町長に、市会議員になったという事実です。つまり、虐殺は「なかったこと」として埋没させられたのです。
こんな人におすすめ
・虐殺の具体的な被害者の実像を知りたい方
・差別の重層構造を理解したい方
・地域の「タブー化」というメカニズムに興味がある方
・事件の詳細を丹念に追いたい方
関東大震災が発生した1923年( 大正12年)9月1日以後、各地で「 不逞鮮人」 狩りが横行するなか、 9月6日、 四国の香川県からやって来て千葉県の福田村に投宿していた15名の売薬行商人の一行が朝鮮人との疑いをかけられ、地元の福田村・田中村の自警団によって、ある者は鳶口で頭を割られ、ある者は手を縛られたまま利根川に放り投げられた。
虐殺された者9 名のうちには、 6歳 ・ 4歳 ・ 2 歳の幼児と妊婦も含まれていた。
犯行に及んだ者たちは法廷で自分たちの正義を滔々と語り、なかには出所後に自治体の長になった者まで出て、事件は地元のタブーと化した。そしてさらに、行商人一行が香川の被差別部落出身者たちだったことが、事件の真相解明をさらに難しくした。
・日本人って何・・というとき、その負の側面も無視できない。きわめて友好的に仲間意識でかたまり、残虐性を発揮する。そして、後から間違いと分かっても反省しない。 方言を話す日本人を虐殺し、利根川に遺棄、反省はなく、首謀者はそのご町長に、市会議員になる ああ 日本・日本人
関東大震災 朝鮮人虐殺を読む / 劉 永昇 (著)
おすすめする理由 - この本の強み
「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」――これらの根拠のない風説が、なぜ伝染し、現実の虐殺を生んだのか?
この本は、豊富な資料に基づいて、差別と排除のメカニズムを暴き出す評論集です。単なる歴史的事実の羅列ではなく、社会心理学的・構造的な分析を通じて、流言がいかにして暴力に転化するのかを明らかにします。
この視点は、現代の「フェイクニュース」や「差別デマ」がなぜ拡散するのかを理解するためにも、重要な示唆を与えてくれます。
実際に読んで印象的だったポイント
最も印象的だったのは、流言の伝播プロセスが具体的に検証されている点です。震災という混乱の中で、人々がいかに「見てきた嘘」を信じ、それを広げていったのか。その心理メカニズムが明らかになることで、歴史は単なる「過去」ではなく、「人間の本質」を示す鏡になります。
こんな人におすすめ
・流言と暴力の因果関係を理解したい方
・社会心理学的視点から歴史を見たい方
・現代のデマ問題に関心がある方
・構造的な分析を求めている方
「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」……。
──なぜ、根拠のない風説が伝染し、現実の虐殺を生んでしまったのか?豊富な資料により、日本近現代史の闇に潜む差別と排除のメカニズムを暴き出す、迫真の評論集!
証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人
おすすめする理由 - この本の強み
芥川龍之介、折口信夫、和辻哲郎、志賀直哉、千田是也、黒澤明…。文化人から市井の人々、子どもの作文まで、約180編の証言と公的史料を収録した、圧倒的な資料集です。
虐殺を見た人、その流言を聞いた人、虐殺を逃れた人、虐殺に加担した人――複数の立場から、その時代に何が起きたのかが浮かび上がります。
内閣府の中央防災会議の公式報告書に基づいており、学術的信頼性も高いです。
実際に読んで印象的だったポイント
最も印象的だったのは、同じ出来事について、全く異なる「解釈」や「見え方」が存在するということです。同時代人たちが、同じ出来事を見ながら、なぜこんなに異なる記録を残したのか。その差異こそが、歴史の複雑性を物語っています。
こんな人におすすめ
・複数の視点から事実を理解したい方
・当時の生の証言を読みたい方
・文化人たちの記録に興味がある方
・学術的信頼性の高い資料を求めている方
1923(大正12)年の関東大震災。その直後から日本人による朝鮮人への虐殺行為が始まる。
被害は中国人や、朝鮮人と疑われた日本人にも及んだ。
内閣府の中央防災会議が出した「災害教訓の継承に関する専門調査会」報告書によれば被害者は数千人ともいう。
芥川龍之介、折口信夫、和辻哲郎、志賀直哉、千田是也、黒澤明…、文化人、市井の人々、子供の作文、公的史料が伝える約180編を収録。
・一人でも多くの日本人がこの事実を知り、学び、これから来るであろう大地震に再びこの悲劇を繰り返さないように考えなければならない。 もちろん一人一人が学び考えることは必要だが、国や自治体もあの時の事実を検証し反省しなければならないと思う。
関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった! / 加藤康男 (著)
おすすめする理由 - この本の強み
この本は、虐殺否定説を主張する著作です。「虐殺はなかった」「朝鮮人によるテロ行為が存在した」「自警団は正当防衛をしていた」という立場から、虐殺の「虚構性」を主張しています。
「複数の見解を理解する」という観点から、この本は重要です。歴史学には対立する解釈が存在し、その対立こそが、歴史研究を前に進める力となるのです。
実際に読んで印象的だったポイント
最も印象的だったのは、この本の著者も、相当な資料調査に基づいて主張を構築しているという点です。つまり、「虐殺があったのか、なかったのか」という問いに、唯一の「正解」は存在せず、複数の解釈が可能だということです。
ただし、他の研究書との比較読みを通じて、どの説がより多くの証拠に支持されているのかを、各自が判断する必要があります。
こんな人におすすめ
・複数の見解を理解したい方
・歴史学における対立を知りたい方
・虐殺否定説の論拠を知りたい方
・自分自身で判断するための情報を集めたい方
「従軍慰安婦」だけではない、もう一つの歴史の捏造!
日本の保守派からも「虐殺はあった」と信じ続けられてきた関東大震災「朝鮮人虐殺」事件。
震災からおよそ九十年、膨大な史料と緻密な調査・分析によって、その虚構が遂に暴かれた!
震災に乗じた朝鮮人によるテロ行為、自警団による正当防衛、韓国の反日プロパガンダの実態──
歴史の闇に葬り去られた史実を明らかにする衝撃のノンフィクション。
・この本を読んでみようと思ったのは、大震災のときに外国から略奪がなかったと感心されたから。それなら関東大震災のときに、朝鮮人は自分達の常識に則って略奪したのに、日本人は火事場泥棒と怒って暴力をふるったのではないかと考えた。
関東大震災と流言 / 前田 恭二 (著)
おすすめする理由 - この本の強み
画家・文筆家である水島爾保布の幻の体験記「愚漫大人見聞録」を基に、震災直後から分別が戻るまでの人々の心理状態を追った傑作です。
震災発生直後、人々はいかにパニック状態に陥り、いかにして流言を信じ込み、いかにして冷静さを取り戻していったのか。その心理プロセスが、文筆家の目を通じて描かれています。
この本は歴史学というより、心理学・人間学としての価値も高いです。
実際に読んで印象的だったポイント
最も印象的だったのは、「見てきた嘘」という概念です。人々は「見ていないのに見たと嘘をつく」のではなく、「見たと思い込む」という心理メカニズムがあるということ。その思い込みが、虐殺という現実を生み出したのです。
こんな人におすすめ
・流言の心理的メカニズムに興味がある方
・当時の文化人の思想に関心がある方
・人間の認知の限界を理解したい方
・戦前日本の知識人層の様子を知りたい方
一九二三年九月一日午前一一時五八分、関東大震災が発生。
おさまらない揺れと迫り来る火災、そして朝鮮人襲撃のデマ……。
画家、文筆家であった水島爾保布は地震発生直後から、人々がしだいに分別を取り戻していくまでの様子を書き記すが体験記「愚漫大人見聞録」は発禁処分で世に出せなかった。幻の体験記は何を語るのか。
・水島爾保布は著述家、漫文家(?)、元新聞社員、コラム執筆家、日本画家、挿絵画家、漫画家(?)で、大正文化人の1人のようである。大正12年には家郷の根岸に住んでいた。 震災発生の9月1日には、大阪朝日新聞のOB会で日比谷の帝国ホテルにいた。激しい揺れに部屋を出て、迷宮のような建築の中を逃げ惑った末、日比谷公園に避難する。 本の中では、その後、すぐに根岸に戻ってしまうので、浅草の悲惨な状況等は、当時浅草で映画を見ていた大学生の話として語られる。そのあとに「東京中にはこの火災を機会にどれ程沢山の「見てきた嘘」が散らかったか判りませんね。」となる。
羊の怒る時 / 江馬修 (著)
おすすめする理由 - この本の強み
1923年9月1日、震災発生時刻まで記されたこの本は、当時のインテリゲンチャの様子を描いた記録文学の金字塔です。
虐殺の事実を追うだけでなく、当時の人々が「どのような心情で、どのような行動をしたのか」を、文学的手法で追体験することができます。
特に注目すべきは、物語の中で朝鮮人が「赤ん坊を助ける」という場面の描かれ方です。混乱と悪意の中での、人間らしさの輝き。その対比こそが、この本の文学的価値です。
実際に読んで印象的だったポイント
最も印象的だったのは、著者が「遭遇者として、嘘偽りなく感情を伝えている」という点です。歴史学的な「客観性」とは異なる「主観的な真実」が、この本には詰まっています。
その結果、読者は単なる「知識」ではなく、「その時代に生きた人間の実感」を得ることができるのです。
こんな人におすすめ
・文学的に歴史を追体験したい方
・当時の人間の感情に迫りたい方
・読みやすく引き込まれるストーリーを求めている方
・震災時代の精神史に興味がある方
1923年9月1日11時58分32秒、関東大震災が発生。関東一帯の大地が激動し、東京は火の海になった。
突然起こった惨禍に、人々は動揺し、流言蜚語が発生。
「朝鮮人が暴動を起こす。火をつける」というデマにより、多くの朝鮮人が虐殺された。
自らの衝撃的な体験をもとに書かれ、震災の翌年から連載が開始された記録文学の金字塔。巻末に石牟礼道子によるエッセイを収録。
・何といってもこの本は最初から最後まで引きつけられる読みやすさがあるということが1番素晴らしいと思います。 その当時のインテリゲンチャの様子が描かれていることも興味深いと同時に、韓国人が赤ん坊を震災の中で助けると言うところの場面もとても惹きつけられ、物語の中で重要な役割を果たしています。 場面が想像できるようなタッチで描かれており、筆者が遭遇者として、嘘偽りなく感情を伝えているところが真実味を増しています。
関東大震災「朝鮮人虐殺」をどの視点で学ぶか?
この歴史事件は、単一の「正解」では理解できません。複数の視点と資料から、事実に接近する必要があります。
被害者の実像と具体的事件を知りたい方
→ 『福田村事件』辻野弥生 で、最も記録されにくかった悲劇を理解することをおすすめします。
流言が暴力に転化するメカニズムを理解したい方
→ 『関東大震災 朝鮮人虐殺を読む』劉 永昇 で、社会心理学的分析を学ぶことをおすすめします。
複数の立場からの証言を読みたい方
→ 『証言集 関東大震災の直後』で、文化人から市井の人々まで、約180編の記録を参照することをおすすめします。
対立する見解を理解したい方
→ 『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』加藤康男 で、虐殺否定説の論拠を知ることをおすすめします。
流言の心理メカニズムに関心がある方
→ 『関東大震災と流言』前田 恭二 で、「見てきた嘘」という心理を追うことをおすすめします。
文学的に追体験したい方
→ 『羊の怒る時』江馬修 で、当時の人間たちの感情を追体験することをおすすめします。
---
よくあるご質問
Q. 関東大震災の朝鮮人虐殺とは、簡潔に言うと何ですか?
A. 1923年9月1日の関東大震災直後、「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」という根拠のない流言が広がり、それに基づいて日本の自警団や軍による朝鮮人への虐殺が発生した事件です。被害者は数千人ともいわれています。
Q. 虐殺は本当にあったのか、なかったのか?
A. 歴史学の主流は「虐殺は存在した」と考えています。ただし、虐殺否定説も存在し、学問内での対立があります。複数の資料を照らし合わせながら、事実に接近することが重要です。
Q. 福田村事件とは何が違うのか?
A. 関東大震災後の虐殺には複数の事件があります。福田村事件は、朝鮮人ではなく、被差別部落出身の香川県民が、朝鮮人と誤認されて虐殺された事件です。これにより、虐殺の問題が「朝鮮人」だけではなく、差別の構造的問題であることが見えてきます。
Q. なぜ流言が信じられたのか?
A. 地震直後の混乱状態、情報不足、既存の朝鮮人差別、メディアの報道姿勢など、複数の要因が重なり、流言が瞬く間に広がりました。これは現代のデマ問題にも通じる構造です。
Q. この事件は、現代の日本で認識されているのか?
A. 教科書では限定的に扱われており、一般的な認識は十分ではありません。しかし学術研究は進み、複数の新資料に基づいた検証が進んでいます。
Q. 100年前に何が起きたのか、正確に知ることはできるのか?
A. 完全な「真実」には到達できないかもしれません。しかし、複数の資料と異なる視点から接近することで、より事実に近い理解を得ることはできます。
Q. 初心者はどの本から読めばいいですか?
A. まずは『福田村事件』で具体的な被害者の実像を知り、次に『証言集』で複数の立場からの記録を読むことをおすすめします。その後、『関東大震災 朝鮮人虐殺を読む』で分析的に理解を深めるというルートが効率的です。
---
まとめ:関東大震災「朝鮮人虐殺」を学び直す理由
100年以上経った今、この事件がなぜ重要なのか?
それは、この事件が示す「差別と排除のメカニズム」が、現在にも通じているからです。
流言がいかにして暴力に転化するのか。
自警団という「善意」の集団がいかにして虐殺者になるのか。
被差別部落という複数の差別がいかに重層化するのか。
虐殺は記録されにくくなり、やがて忘却されるのか。
これらの問いは、2025年の現在でも切実です。
また、この事件の真実に向き合うことは、日本社会が自らの負の側面を直視するための重要なプロセスでもあります。
「虐殺があったのか、なかったのか」という二者択一の問いから脱却し、「なぜ多くの人が殺され、その記録は忘却されたのか」という深い問いへ。
そして「現代の私たちは、この歴史から何を学ぶのか」という未来指向的な問いへ。
この記事が、あなたの「歴史との向き合い方」を変えるきっかけになることを願っています。
※画像・口コミ・あらすじはAmazonホームページより
※セール・商品情報などは変更になる場合がありますので必ずご確認の上ご利用ください。
〜”今”売れている本はこちらをクリック↓↓↓〜
最後までお読みいただきありがとうございます。
良い本と、良い出会いを。

![関東大震災 朝鮮人虐殺を読む──流言蜚語[フェイク]が現実を覆うとき 関東大震災 朝鮮人虐殺を読む──流言蜚語[フェイク]が現実を覆うとき](https://m.media-amazon.com/images/I/41sf2R57OkL._SL500_.jpg)




